ファシアちゃんと話してきたシリーズも、今回が最終回。
テーマは「ファシアと水分」です。
先に結論を言うと、ファシアのすべりには水分を含む成分が関わっています。
でも、水をたくさん飲めばファシアがゆるむ、という単純な話ではありません。
ファシアの“うるおい”って何?

ねえ、あやとさん。ぼくって、みずみずしいほうが動きやすいの?

うん。ファシアの層と層の間には、ヒアルロン酸などを含む水分の多い環境があって、すべりやすさに関わっていると考えられているよ。

なるほど。ぼく、カラッカラよりプルッとしていたいタイプ(笑)
水を飲めば、やわらかくなる?

じゃあ、お水をガブガブ飲めば、ぼくはすぐにゆるゆる?

そこまでは言えないんだ。
水分補給は体調管理に大切だけど、飲んだ水がそのまま特定のファシアをゆるめる、と確認されているわけではないよ。

そんなに都合よく、ぼくのところへ直送されないのね。

そうそう。水分だけでなく、同じ姿勢が続きすぎないことや、無理のない範囲で体を動かすことも大事なんだ。

そういえば前の記事に、腱やファシアは筋肉の約200倍の力で縮む、って話があったよね?

あったね。ただ、ここは少し丁寧に言い直したいところなんだ。
ラットから取り出した腰部ファシアを薬剤で刺激すると、ゆっくり縮む反応が観察された研究はある。
でもこれは脱水させた実験ではないし、「腱やファシアが筋肉の約200倍の力で縮む」と、そのまま比べられる研究でもないんだ。
だから今のところは、ファシアには自ら張力を変えることに関わる細胞がある可能性が研究されている、くらいに受け取っておこう。
うるおいと動きは、セットで考える

産婦人科の手術を見たときの話も、前にしてなかった?

うん。以前、産婦人科医の講演で骨盤内の手術映像を見たことがあるんだ。
組織同士が滑らかに分かれる場所と、癒着して動きにくそうな場所。その違いがとても印象に残った。
ただ、映像だけを見て「水分が失われたから癒着した」と原因まで決めることはできない。手術や炎症、病変など、いくつもの要因が関係する可能性があるからね。

じゃあ今日から何をしたらいい?

まずは、のどの渇きや体調に合わせて水分をとること。
そして、ときどき立つ、肩を回す、少し歩く。そんな小さな動きを重ねることだね。
持病がある方や水分量を医師から指示されている方は、その指示を優先してね。

了解。水だけに全部お任せせず、ちょこちょこ動く。これなら続けられそう!
ファシアは、水分だけ、姿勢だけ、ストレスだけで決まるものではありません。
体はもっと複雑です。
だからこそ、一つの原因に決めつけず、今の体を一緒に見ていくことを大切にしています。
シリーズの最初から読み返すなら、ファシアちゃんとからだトーク第1回へどうぞ。

