真のツールとは何か?②指輪の数値が教えてくれたこと

身体は変わっていた。でも、最初に教えてくれたのは指輪でした。

前回は、マウスの設定を何度も見直していた話を書きました。

便利なマウスが欲しかったわけではありません。

マウスの存在を意識せず、考えたいことや作りたいものに集中できる環境を作りたかった。

そんな話でした。

今回は、ある患者さんとの会話から考えた「道具」の話です。

患者さんから教えていただいたこと

患者さんから教えていただくことは、本当に多いです。

この日も、その一つでした。

施術中、患者さんがこんなことを話してくださいました。

「先生、実は睡眠スコアがずっと安定してるんです。」

「睡眠スコアですか?」

「指輪で毎日測ってるんですよ。」

正直に言うと、ぼく自身は睡眠スコアを毎日測ったことがありません(笑)。

なので最初は、

「そういう使い方をしている人もいるんだな。」

くらいの気持ちで聞いていました。

すると患者さんが、

「鍼を受けるようになってから、一度も80%を下回らなくなったんです。」

と教えてくれました。

それまでは70%台の日もあれば、

80%を超える日もあったのが、変化していたそうです。

もちろん、この話だけで、

「鍼をすると睡眠が良くなります。」

とは言えません。

今回は睡眠を目的に施術していたわけではありません。

首や肩の状態の変化が影響したのかもしれませんし、

生活習慣など別の要素が関係していた可能性もあります。

一人の方の変化だけで、何かを証明することはできません。

数字が教えてくれる身体の変化

でも、ぼくが面白いと思ったのは、そこではありませんでした。

患者さん自身も、

「最近、身体が軽いんですよ。」

という感覚はあったそうです。

ただ、それはあくまで本人が感じている身体の変化です。

そこに、睡眠スコアという数字が重なった。

「やっぱり身体は変わっていたんだ。」

そんなふうに感じるきっかけになったそうです。

その話が、ぼくにはとても印象に残りました。

数字は身体の代わりではない

最近は、睡眠時間や心拍数、活動量など、

身体に関するさまざまな情報を記録できる時代になりました。

便利な一方で、数字ばかりを追いかけてしまうと、

かえって身体の感覚から離れてしまうこともあります。

「今日はスコアが悪いから調子が悪いはずだ。」

そんなふうに、数字に身体を合わせてしまうこともあるかもしれません。

でも、本来こうした道具は、

自分の身体を評価するためだけにあるものではないと思います。

自分では気づきにくかった変化に気づく。

身体との距離を少し近づける。

そのためのきっかけにもなる。

そんな使い方ができると、道具の意味は少し変わるのかもしれません。

指輪が教えてくれたこと

帰り際、ふと考えました。

患者さんの指輪は、身体を変えたわけではありません。

でも、身体の中で起きていた変化を教えてくれました。

そう考えると、毎日のように使っているエコーも少し似ている気がしてきたんです。

患者さんから、

「エコーがあると、よく治るんですよね。」

と言われることがあります。

でも、その言葉を聞くたびに、ぼくは少し違うことを考えています。

エコーは何をしてくれる道具なのか。

そして、見えることは本当に答えなのか。

次回は、エコーと鍼灸について書いてみようと思います。