体の感覚が先で、思考は後

先日、栄養学の先生と話していて、こんな言葉が出てきました。

「人は、頭で先に考えているようで、本当は体のほうが先に感じているんじゃないか」

なるほど。

たしかに、そうかもしれません。

私たちは、

「不安だから眠れない」

「イライラするから食べすぎる」

「やる気が出ないから動けない」

と考えがちです。

でも、もしかしたら順番は逆かもしれません。

「やる気がない」のではなく、その前に体が何かを感じている。

そんな見方もできそうです。

頭より先に、体は反応している

寝不足が続いている。

お腹が空いている。

呼吸が浅い。

肩や首にずっと力が入っている。

体が冷えている。

どこかに痛みがある。

そういう状態が先にあって、脳があとから、

「今日は不安だ」

「なんだかイライラする」

「集中できない」

「やる気が出ない」

と理由をつけていることもあるのかもしれません。

もちろん、気持ちの問題を全部「体のせい」にする話ではありません。

考え方や環境、人間関係が影響することもあります。

ただ、頭の中だけを何とかしようとしても、どうにもならない日があります。

そんな日は、考え方を直す前に、

「ちゃんと眠れたかな」

「息を止めていないかな」

「お腹、空いてないかな」

くらいから見てみてもいいですよね。

思考を変える前に、体の状態を見てみる。

それだけで、少し話が変わることがあります。

体の小さな感覚が青い線となって思考へ届く概念図
「これくらい普通」が、ちょっと危ない

体は、けっこう前からサインを出しています。

痛い。

疲れた。

眠い。

お腹が空いた。

なんとなく落ち着かない。

でも私たちは、その声を聞き流すのが本当に上手ですよね(笑)

「仕事だから仕方ない」

「肩こりなんて昔からだから慣れちゃった」

「痛いのが当たり前になってる」

「休むのは甘え」

言いがちです(笑)

最初は小さな違和感だったものも、毎日続くと普通になります。

違和感を感じなくなってしまうのです。

長期間にわたって症状をお持ちの方は

よくこういうセリフを言っていませんか?

慣れてしまった、感じなくなってしまった

だからといって問題がなくなったわけではありません。

施術で、体の声が戻ってくる

鍼灸の施術をしていると、ときどきこんな言葉をいただきます。

「こんなに力が入っていたんですね」

「呼吸が浅かったことに気づきました」

「お腹が動いてきました」

「眠くなってきました」

「力を抜く感じを久しぶりに思い出しました」

筋肉がやわらかくなった、というだけではありません。

患者さん自身が、自分の体の感覚をもう一度受け取った瞬間だと思っています。

鍼灸の役割は、痛みを取ることだけではないと思うのは、

こういった反応がよく見られるからです。

体が出している小さなサインに、もう一度気づけるようになること。

そのお手伝いも、大切な役割のひとつです。

忙しいと、体の声はどうしても小さくなります。

だから、ときどき立ち止まって、

「今、体は何と言っているんだろう」

と聞いてみる。

すぐに答えが出なくても大丈夫です。

もしかすると、頭が答えを考え始めるより前に、体はもう何かを教えてくれているかもしれません。