この「めんどくさい」シリーズも、まさかの3回目になりました(笑)
どれだけめんどくさいについて考えているんだ、という感じですが、極度のめんどくさがりとしては放っておけないテーマなんです。
第1回では、めんどくさいの正体は、脳がエネルギーを節約しようとする働きなんじゃないか?
というお話をしました。
第2回では、疲れやストレスで体に余裕がなくなると、脳が早めにブレーキをかけるのかもしれない。
そして、その判断にはファシアなどから届く体の情報も関わっているかもしれない、というお話でした。
では、ここで気になるのが、
「そのブレーキ、どうしたら少しゆるむの?」
ということですよね。
気合い?
根性?
自分のお尻をたたく?
どれも、めんどくさがりには少々ハードルが高い(笑)
そこで今回は、鍼灸と「ひもトレ」について考えてみます。
鍼は「やる気」ではなく体に触れる
鍼の先が届くのは、皮膚や筋肉、その間に広がっているファシアの層です。
ファシアというと、筋肉を包む膜のようなイメージがあるかもしれません。
でも、ただの包装紙ではありません。
ファシアには感覚を伝える神経が分布していて、体の状態を脳へ届けることにも関わっています。
鍼は「やる気を出しなさい!」と脳に説教するものではなく、まず体に刺激を入れるものです。

その刺激によって、脳へ届く体の情報にも変化が起こります。
施術のあとに、
「体が軽い」
「少し動きやすい」
と感じる方がいるのは、固まっていた筋肉がゆるむことだけでなく、体の感じ方そのものが変わることも関係しているのかもしれません。
もちろん、鍼をすれば脳の身体予算が正しくなって、「めんどくさい」が消えると証明されているわけではありません。
ここは、そんなに単純な話ではないんですよね。
ただ、気持ちを無理やり変えようとする前に、体から届く情報を変えてみる。
これは鍼灸師として、すごく自然な考え方だと思っています。
ひもを巻くだけで、何が起きる?
「ひもトレ」をご存じでしょうか?
バランストレーナーの小関勲さんが考案した、ひもを体にゆるく巻く方法です。
強く締めて固定するのではなく、本当にゆるく触れさせるだけ。
初めて見たときは、正直、
「これで何が変わるの?」
と思います(笑)
でも、ここで第2回の話とつながります。
皮膚には、触れられたことを感じ取るセンサーがたくさんあります。
服が触れている。
風が当たっている。
誰かにそっと触れてもらう。
私たちは意識していなくても、体はそうした情報をずっと受け取っています。
ひもが皮膚へゆるく触れ続けると、体にはいつもと少し違う感覚が加わります。
すると立ち方や動き方、力の入り方が変わる人もいる。
ひもが体を物理的に矯正しているというより、ひもをきっかけに、体が自分でバランスを探し直しているように見えるんです。
ただし、ひもトレによって脳の身体予算が整う、痛みが改善するといった一連の仕組みが、医学的に確立しているわけではありません。
ここも、私が体の反応を見ていて感じる臨床的な見立てです。
何かを足すより、体の声を聞き直す
鍼灸とひもトレは、同じものではありません。
鍼灸は、体の状態を確認しながら、刺激する場所や深さを選びます。
ひもトレは、皮膚へゆるやかな感覚を加え、日常の動きの中で体の反応を見ていくものです。
入口は違います。
でも私には、どちらも
「体へ新しい命令を出す」
というより、
「体から届く情報を、もう一度聞き直す」
ためのきっかけに見えます。
めんどくさいと感じると、つい
「もっと頑張らなきゃ」
「やる気を出さなきゃ」
と、自分に何かを足そうとしてしまいます。
でも、本当に足りないのは気合いではなく、動くための体の余裕なのかもしれません。
体の感じ方が変われば、「ちょっと動いてみようかな」と思える余白も生まれるかもしれない。
鍼でも、ひもでも、深呼吸でもいい。
体に何かが触れたとき、立ちやすさや呼吸、動きたい気持ちがどう変わるのか。
すぐに「効いた・効かない」と決めず、少し観察してみるのも面白いと思います。
めんどくさいを気合いでねじ伏せるのも、まためんどくさいですからね(笑)
まずは体の声を聞くところからで、いいんじゃないでしょうか(^^)

