今回はシリーズ最終回です!
第1回で「脳は予測マシン」、
第2回で「予測が暴走すると慢性疼痛になる」
という話をしました。
今日は「じゃあ、どうすればいいの?」っていう、
一番大事な部分をお話しします。
キーワードはやはり「ファシア」です。
ファシアって?
「ファシア」って聞いたことありますか?
最近、健康番組とかでも取り上げられるようになってきたんですが、
まだ馴染みがない方も多いかもしれません。
ファシアは、筋肉、骨、臓器など、
全身を包み込んで、
全身を一つにつないでいる
薄い膜のような組織です。
昔は人体解剖の世界では筋肉や内臓をみるのに切りとられて、
ただ邪魔者扱いされていた可哀想な組織でもあります(笑)
しかし最近の研究では、
ファシアが重要な役割を果たしていることが分かってきました。
例をあげると、
ファシアには皮膚の10倍以上もの
神経終末(神経のいちばん先っぽの部分)が密集しているんです。
ファシアは体で最も豊か(リッチ)な感覚器官なんです。
→ファシアについての特集はこちらから
また、ファシアは
- 体の動き
- 位置
- 張力
- 圧力
- 痛み
などの情報を、常に脳に送り続けています。
これを「内受容感覚」と言います。
脳はこの情報をもとに、
「体は今、どんな状態か?」を判断して、
予測を立てるんです。
つまり、ファシアは脳の予測の「情報源」なんですね。
そして、ここからが重要なんですが…
ファシアが硬くなると、脳への情報が「ノイズまみれ」に
- ストレス
- 運動不足
- 長時間の同じ姿勢
- 炎症
こういうことが続くと、
ファシアが硬くなったり、滑りが悪くなったりします。
すると、ファシアから脳に送られる情報が
「ノイズまみれ」で曖昧になるんです。
例えるなら、電波の悪いラジオみたいな感じです📻
「ザー…ザー…」とノイズが入って、
何を言ってるのか分からない状態です。
慢性的に痛みがある方の脳は、
「痛み」という強い予測バイアス(過去の経験をもとに、
脳が先回りして決めつけてしまうクセ)を持っています。
だから、この曖昧な情報を
「危険信号だ!」と誤って解釈しやすいんです。
そして、痛みを感じさせて、
体を守るために筋肉を緊張させる。
でも、筋肉が緊張すると、
→ファシアがさらに硬くなって
→血流が悪くなって
→炎症が起きる
すると、ファシアからの情報がさらに悪くなって、
脳の「痛み予測」がますます強くなる…
という悪循環にはいっていきます。
悪循環を断ち切るには?
じゃあ、どうすればいいのか。
答えはシンプルです。
- ファシアの状態を改善して、脳に送られる情報の質を高めること
- 「動いても痛くない」というポジティブな予測エラーを体験して、
脳の予測を書き換えること
この2つです。
具体的にできることは、
① ファシアを動かす
ファシアは、動かさないと硬くなります。
だから、適度に体を動かすことが大事。
ストレッチ、ヨガ、散歩、何でもいいです。
「痛いから動かない」じゃなくて、
「痛くない範囲で、少しずつ動かす」
これが、ファシアの滑走性を取り戻す第一歩です🏃♂️
② 専門家の手を借りる
鍼灸、マッサージ、理学療法など、
ファシアにアプローチする治療はたくさんあります。
僕も普段の施術では、
ファシアの状態を整えることを意識して施術しています。
③ 安全な環境で「動いても大丈夫」を体験する
これも、めちゃくちゃ大事です。
専門家の指導のもと、
「動いても痛くない」っていう体験を積み重ねる。
そうすると、脳の「動くと痛い」という予測が、
少しずつ書き換えられていきます。
これが、予測の学習なんです。
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さて、3回にわたって、
脳の予測機能と慢性疼痛についてお話ししてきました。
ちょっと難しい内容もあったかもしれませんが、
伝えたかったのは、
「痛みは、体だけの問題じゃない。
脳の予測も関わっている。そして、予測は変えられる」
ということです。
もし、長く続く痛みに悩んでいるなら、
一度「脳の予測」という視点で考えてみるのもありかもしれません。
そして、ファシアのケアや、
安全な環境での動きの練習を試してみてください。
きっと、何か変化が起こると思います。
僕たち鍼灸師も、そのお手伝いができればと思っています。
何か気になることがあれば、いつでもご相談くださいね!

