前回まで、3回シリーズで「脳の予測機能と慢性疼痛」についてお話ししてきました。
脳が「次に何が起こるか」を予測していて、
その予測が暴走すると痛みを作り出してしまう……
という内容でした。
この脳の予測機能は、
痛みだけじゃなくて、
もっと身近なところでも働いているんです。
実は、水を飲む時もなんです。
僕は結構喉がすぐに乾くので、
一日で水を飲むことが多いのですが、
喉がカラカラの時に、冷たい水を一口飲むと、
すぐに「生き返る〜!」という感じがしますよね。
そういう時の水は本当にお酒より美味しい(笑)
でも、ちょっと不思議だと思いませんか?
実は、飲んだ水が体中に吸収されるまでには、
少なくとも5分から数十分かかるんです。
でもなんで一口飲んだ瞬間に、
すぐ喉の渇きが癒えるんでしょう?
その答えがまたしても脳の予測機能なんです。
水が体に吸収されるまで、意外と時間がかかる
まず、飲んだ水がどうやって体に吸収されるか、知ってますか?
聞かれると意外に何でだろう?と思いますよね。
空腹時に水を飲むと、こんな感じで吸収されていきます。
5分で吸収が始まり(小腸)
20分でピークを迎え
1〜2時間で腸管から体内へ移動し終える
飲んで瞬時に潤うわけではなく、
結構時間がかかっていますよね。
食事と一緒に飲むと、もっと遅くなります。
食べ物の消化のために、水が胃に留まる時間が長くなるからです。
でも、喉の渇きは一瞬で癒える不思議!
吸収に時間がかかるのに、なぜ渇きはすぐに癒えるのか?
水を飲み始めて、口と喉を通過する感覚を、
脳は瞬時にキャッチします。
脳が検出しているのは、
- 飲んだ水の量
- 温度(特に冷たさ)
- 液体が通過する物理的な感覚
この情報が、脳の渇きの中枢に送られると、
渇きを引き起こしていた神経細胞の活動が一時的に抑制されます。
つまり、
「これだけ飲んだから、もうすぐ体は潤うはずだ」
と脳が予測して、先に渇きの感覚をオフにしてくれるんです。
すごくないですか?
実際に吸収されるのを待たずに、
「大丈夫、水は来たよ」と安心させてくれるんです。
私たちの体の約60%は水でできています。
水は、血液として栄養を運んだり、
老廃物を排出したり、体温を調整したり……
生命活動のすべてに関わっています。
だから、脳は水分バランスを守るために、
こんなに精密なシステムを作り上げたんです。
喉が渇く前に飲むのが理想
よく聞く話かもしれませんが、
喉が渇いた時点で、すでに軽い脱水状態なんです。
理想は、喉が渇く前にこまめに水を飲むこと。
特に、デスクワークで集中していると、
水を飲むのを忘れがちですよね。
人間目に見えないと忘れてしまうので、
目の前にボトルなどにいれて
置いておくことをおすすめします。
基本的には、常温の水かぬるま湯がおすすめです。
が!
一番大事なのは「飲みやすい水を、こまめに飲む」こと。
難しく考えすぎず、自分が美味しいと感じる水を飲んでくださいね。
次に水を飲む時、ちょっと意識してみてください。
一口飲んだ瞬間に、喉の渇きが癒える感覚。
「水を飲む」という、何気ない日常の行為の中に、
こんなに精巧なメカニズムが隠れている。
それを知ると、水を飲むのがちょっと楽しくなりませんか?
体が教えてくれる「渇き」のサインを大切にして、
こまめに水分補給してくださいね。

