先日、『ノボカイン』という映画を観ました。
この作品は、「無痛症」の男性を主人公にした物語です。無痛症とは、生まれつき痛みを感じにくい先天性の疾患で、汗をかきにくいという特徴もあります。高熱やけがに気づきにくいため、日常生活の中で大きな危険を伴うことがあります。
つまり、骨折しても、やけどをしても、その痛みを感じることができないのです。
映画の中では、骨折した骨が皮膚を突き破っていても、高温の油に手を入れて皮膚がただれていても、主人公は苦痛で顔をゆがめることがありません。
もちろん映画の世界ではありますが、その光景はなんとも衝撃的で、思わず目を背けたくなるほどでした。
私は普段、痛みを抱えるクライアントの施術をしています。
「痛みで眠れない」
「痛みのせいで日常生活が思うように送れない」
「この痛みさえなければ……」
そんな切実な声を、これまで数え切れないほど聞いてきました。
そしてもちろん、私自身も痛みに苦しんできた一人です。
だからこそ、この映画を観て改めて考えました。
痛みとは何のためにあるのだろう。
痛みは本当に必要なものなのだろうか。
私の答えは、「必要」だと思います。
痛みは、体や心が発するSOSのサインです。
「今の環境はあなたに合っていないよ」
「体の使い方を見直してみて」
「少し違う視点で考えてみて」
「その考え方を手放してみて」
そんなメッセージを、私たちに届けてくれているのではないでしょうか。
もちろん、痛みはつらいものです。
できることなら感じたくないし、早く楽になりたいと思うのが自然です。
それでも私は、痛みのない人生よりも、痛みを受け入れ、その意味と向き合う人生の方が、より深く豊かなものになると感じています。
私自身、これまでの人生で経験したさまざまな痛みと向き合う中で、鍼灸、ヨガ、栄養学、心理学、そして生き方そのものについて学ぶ機会を得ました。
そして、その学びは今、多くの方をサポートするための力となっています。
もし過去に痛みがなかったら、ここまで人生を深く見つめることもなかったかもしれません。
実際に施術をしていても、自分の痛みから目を背けるのではなく、丁寧に向き合った方ほど改善が早く、その後の人生もより豊かに変化していく傾向があります。
痛みは、ただ取り除くべきものではなく、自分自身を見つめ直し、本来の生き方へ戻るためのきっかけを与えてくれる存在なのかもしれません。
あなたは、自分の痛みとどのように向き合いますか?

