食べていないのに太る、検査は正常なのにダルい。「甲状腺」から紐解く、更年期の体を整えるヒント

「最近、なんだか体が重だるいんです」

「食事は変えていないのに、体重だけが増えてしまって」

「むくみがひどくて、指輪が抜けなくなりました」

治療院にいらっしゃる患者さまから、
そんなお声をよく耳にします。

40代後半から50代にかけて、
心と体の変化に戸惑っている方は本当に多いですね。

一般的には「更年期だから」と説明されることが多いこの時期。

もちろん、女性ホルモンの変化も大きな理由のひとつです。

でも、もしあなたが
「検査では異常がないのに、ちっとも良くならない」
と感じているなら。

その不調の鍵を握っているのは、
実は「甲状腺」かもしれません。

今日は、少し視点を変えて、
あなたの体を守る「喉元の小さな司令塔」についてお話しさせてくださいね。

小さな臓器が、あなたの「元気」を作っている

甲状腺は、喉仏の下にある蝶々のような形をした小さな臓器です。

ここから出ている「甲状腺ホルモン」は、
全身の細胞に向けて、とても大切な指令を出しています。

それは、「代謝しなさい」という指令です。

代謝、と聞くとダイエットを思い浮かべるかもしれませんが、
それだけではありません。

  • 食べたものをエネルギーに変えること。
  • 体温を調整して、ポカポカに保つこと。
  • お肌や髪に潤いを与えること。
  • 余分な水分を排出すること。
  • 脳をすっきりと働かせること。

これら全てをコントロールしているのが、甲状腺ホルモンなんです。

つまり、このホルモンは
私たちが生き生きと活動するための「元気の源」のようなもの。

特に私たち女性の体はデリケートで、
男性よりもこの甲状腺のバランスが揺らぎやすいと言われています。

「検査は正常」でも、体はSOSを出していることがあります

ここが少し、難しいけれど大切なポイントです。

病院の血液検査で、
「甲状腺の数値は基準値内ですね、異常ありません」
と言われたことはありませんか?

「異常なしと言われたのに、どうしてこんなに辛いんだろう」
と、ご自分を責めてしまう方もいらっしゃいます。

でも、ご安心ください。
あなたが弱いわけでも、気のせいでもないんです。

実は、血液中のホルモンの量が足りていても、
「細胞の中でうまく働けていない」というケースがとても多いのです。

これを専門的には「Low T3(ロー・ティースリー)」と呼んだりします。

更年期の女性の体は、とても頑張り屋さんです。

  • 閉経へ向かうホルモンの変動。
  • 仕事や家庭でのストレス。
  • 長年の栄養不足や、睡眠不足。

こうした負担が重なると、体は
「これ以上エネルギーを使わないで!今は休む時だよ!」
と判断して、あえて代謝のスイッチを落としてしまうことがあります。

いわば、体が強制的に「省エネモード」に入っている状態なんですね。

そのサインとして現れるのが、
更年期特有の、あのなんとも言えない不調たちです。

  • どれだけ寝ても抜けない疲労感。
  • 手足の冷えや、低体温。
  • 押しても戻りにくい、ボテッとしたむくみ。
  • お肌の乾燥や、髪のパサつき。
  • 気持ちが沈んで、やる気が出ない。

特に、この時期のむくみは水分だけでなく、
「ムコ多糖類」というゼリー状の物質が皮下に溜まっていることが多く、
マッサージだけではなかなかスッキリしないのが特徴です。

また、「コレステロール値が下がらない」というお悩みも、
実は甲状腺の働きが弱まり、
コレステロールをうまく排出できなくなっていることが関係しているんですよ。

「頑張る」のをやめて、「巡らせる」ケアを

では、どうすればこの司令塔は、
また元気に働いてくれるようになるのでしょうか。

お薬でホルモンを足すことも一つの方法ですが、
まずは、「ホルモンがきちんと働ける土台」を整えてあげることが大切です。

甲状腺ホルモンが働くためには、
たくさんの栄養が必要です。

  • 鉄分
  • タンパク質
  • ビタミン(特にAやB群)
  • ミネラル(亜鉛やセレンなど)

こういった栄養素を、
毎日の食事で少しずつ意識してみてくださいね。

そしてもう一つ、とても大切なのが
「体をリラックスモードに切り替えること」です。

体が常に緊張して「戦うモード」になっていると、
甲状腺の働きはブロックされてしまいます。

そこで、はり治療(鍼灸)がとても良いサポートになります。

はり治療は、ただコリをほぐすだけではありません。

乱れてしまった自律神経のバランスを整え、
全身の血流を良くして、
内臓が本来の働きを取り戻せるように働きかけます。

「ここ数年、ずっと体が重かった」
という方が、はり治療を続けていくうちに、

「朝、スッキリ起きられるようになった」
「手足が温かくなってきた」
「気持ちが前向きになってきた」

と、本来の笑顔を取り戻されていく姿を、私はたくさん見てきました。

それは、お薬で無理やりエンジンをかけるのではなく、
あなた自身が持っている「治る力」が目覚めた証拠です。

更年期は、英語で「The Change of Life(人生の転換期)」と呼ばれます。

それは、「衰えていく時期」ではありません。

これまでの無理を見直し、
これからの人生をより自分らしく、
心地よく生きていくための「整え直しの期間」なんです。

もし今、原因のわからない不調に悩んでいるのなら。

「年だから仕方ない」と諦める前に、
一度、体の声に耳を傾けてみませんか?

あなたの体は、
「少し立ち止まって、私を大切にして」
と伝えているのかもしれません。

ひとりで頑張りすぎなくて大丈夫です。
いつでも、お手伝いさせてくださいね。