【シリーズ:脳の予測機能と痛み】第1回:脳は優秀な「予測マシン」

ぼーっと階段をおりてるときに、最後の段がまだあると思って

実際は段がなかったときに

足を踏み外しそうになったことありませんか?

先日まさにそれをやらかしまして(笑)

あると思ってた段を踏み外して、めちゃくちゃビックリしました。

あの「ドキッ」とする感じ、嫌ですよね。

でも、このドキッとする反応が

脳の驚くべき機能を教えてくれているんです。

今日から3回シリーズで、「脳の予測機能と痛み」についてお話ししていきます。

第1回の今回は、「脳が未来を予測している」というお話です。

 脳は「受信機」じゃなくて「予測マシン」

昔は、脳って「情報を受け取って処理する機械」だと思われていたんです。

目や耳、皮膚から入ってくる情報を、

脳が受け取って「あ、これは痛いな」、

「これは熱いな」と判断しています。

でも、最新の脳科学では全然違う考え方が主流になってきています。

それが「予測処理(Predictive Processing)」という理論です。

脳は情報を受け取る前に、

すでに「次に何が起こるか」を予測しているという内容です。

さっきの階段の話だと、

階段を降りる時、

脳は次の段差の高さを予測しているんです。

「この階段はこのくらいの段差できてるから、

次もそうだろう」って。

そして、実際に足が段差に触れた時、

脳は予測と現実を比べます。

予測通りだったら、

脳は「OK、問題なし」とスルーします。

でも、予測と違ったら?

「えっ、段差がない!?」ってなって、

あの「ドキッ」が生まれるんです。

これが「予測エラー」です。

予測エラーが学習を生む

この予測エラー、実はめちゃくちゃ重要なんです。

脳は予測エラーが起きると

「あ、自分の予測が間違ってたんだ」と学習します。

そして、次からはもっと正確な予測ができるようにしていきます。

なぜ脳が予測をしているかというと、

それは、エネルギーを節約するためなんです。

脳って、体重の2%くらいしかないのに、

全身のエネルギーの20%も使う大食いなんです。

だから、できるだけ効率的に動きたい。

なるべく省エネで働きたいのです。

脳はめちゃくちゃ効率的なんです。

でも、実はこの優秀すぎる予測機能が、

慢性的な痛みの原因になることがあるんです。

第2回では、「予測が暴走する時」についてお話しします。

脳が「痛みが来るぞ」って予測し続けると、何が起こるのか。

そして、その予測自体が、

本当に痛みを作り出してしまう

メカニズムについてお伝えします。