風邪は体のリセットボタン

最近、学校でインフルエンザによる学級閉鎖が続いていますね。

我が家の娘の学校ではまだ出ていないようですが、

患者さんたちには「子どもが休みになって看病疲れです…」という声をよく聞きます。

そして、私自身もちょっと喉が痛いなぁ〜と体のサインを感じ始めています(^_^;)

どうやら今シーズンも、体のリセットスイッチがあちこちで押されているようです。

風邪は悪者じゃない

「風邪をひく=悪いこと」というイメージが強いですよね。

でも「整体」という言葉の生みの親でもある

野口晴哉さんの名著『風邪の効用』(ちくま文庫)では、

風邪は単なる病気ではなく「体が自らを整えるための自然な働き」として語られています。

野口氏の主張によれば、発熱は体の偏りを正し、

内側にたまった不要なものを燃やして調整するための自然な反応です。

つまり、熱は「体がきれいになろうとするプロセス」であり、

風邪は体が勝手に行うメンテナンスという考え方です。

現代人は疲れていても無理をして、

食べ過ぎ・飲み過ぎ・寝不足。

そんな生活を続けても何も起きなかったら、それはそれで危険です。

むしろ、ちゃんと風邪をひく体は、自分を守るセンサーが働いているということ。

風邪は体が鈍化している人ほど引きにくく、

脳溢血や心臓病などの大きい病気として

ドーンと出てくることもあるとか、、、。

母の「汗をかけ作戦」

思い返すと、子どもの頃はよく風邪をひいて学校を休んでいました。

そんなとき母は決まってこう言いました。

「とにかくあったかくして、汗をいっぱいかいて熱を下げなさい。」

熱があるのに布団を三枚くらい重ねられて、

まるでサウナ修行。汗でTシャツが貼りつくのが嫌だったけど、

汗をかいて着替えると、体も心もスッキリしてるんですよね。

野口氏も、風邪を薬で抑えようとすると

体の自然な調整が途中で止まってしまうと述べています。

体が自分で熱を出し、汗をかいて、内側からバランスを取り戻そうとしている。

母の知恵と野口理論は、意外と通じるところがあるのかもしれません。

風邪をひくのは「体からの借金取り」

風邪をひくのは、悪いことじゃありません。

むしろ「最近ちょっと無理してたでしょ?」という体からの請求書。

いわば健康の後払い制度です。

睡眠不足、ストレス、冷えた体、カフェイン過多。

そうした小さな負債が積もり積もって、

忘れた頃に風邪という形でツケを回収しに来るんです(笑)

野口氏は、風邪を経過させることの大切さを強調しています。

薬で無理に症状を抑えるより、体の働きを信頼することが大事です。

現代的に言えば、風邪薬で症状を押さえるのは、

掃除機のコードを引っこ抜くようなもの。

見た目は静かになっても、ホコリは残ったままです。

まずは「寝る」。とにかく寝る。

寝るのも治療のうちです。

眠っている間に免疫も自律神経もフル稼働して、

体が勝手に修復してくれます。

食欲があるなら、

あたたかい味噌汁

お粥

みかんやキウイなどのビタミンC

ナッツや海藻に含まれるミネラル

を少しずつ。無理にたくさん食べなくて大丈夫です。

そして、汗をかいたらすぐ着替える。

『風邪の効用』にも「汗をかいたら、よく拭き、着替えをすること。

これを怠ると、せっかくの浄化が滞る」という助言が記されています。

つまり、汗出して・拭いて・着替えてが三種の神器

風邪はチャンス

風邪は、体が「ちょっとリズムを変えようよ」と言っているサインです。

だから、「やっちゃった…」じゃなくて

「ようやくリセットできる!」くらいの気持ちで受け止めたいですね。

そんなふうに過ごせば、風邪はただの厄介者じゃなくて、

メンテナンスを手伝ってくれるパートナーに変わります。

次に風邪をひいたら、

「よし、体が掃除を始めたな」と

ニヤッと笑って布団に入りましょう(笑)