「あちこち痛くてわからない…」その感覚、実は“体の錯覚”かも

うまく伝えられないのが当たり前

施術をしていると、クライアントさんが自分の症状がうまく伝えられないことがあります。

「どこが一番痛いですか?」や

「最初と比べて痛みはどうですか?」と聞くと、

「もうあちこち痛くて、どこが痛いんだか分からない」、

「痛すぎて、こうって表現できない!」

などと言われたりします。

クライアントさんとしては、

こちらにうまく説明したいんだけど、

言葉に表現できないことがもどかしいようです。

でも実はこれは珍しいことではないんです。

体がつらい状態が長く続くと、脳や神経が信号を整理できなくなり、

「痛い場所」や「痛みの強さ」が曖昧になってしまうんです。

難しい言葉でいうと、内受容感覚の異常だと言えます。

何度かブログでは紹介してきていますが、

内受容感覚とは痛みや呼吸、心拍などの

生理的なものに対する感覚のことです。

研究によると、慢性的な痛みや不安を抱えている人は、

体の声にとても敏感なのに、その信号を正しく受け取れていない

という矛盾が起きやすいことがわかっています。

「強く感じるけど、間違って受け取ってしまう」状態です。

音量を上げすぎたラジオが雑音だらけで、

歌詞が聞き取れないようなイメージです。

シンプルにシンプルに

本来の体の感覚は、もっとシンプルで役に立つサインです。

  • 疲れたら「休みたい」
  • 怪我をしたら「痛い」
  • 空腹になったら「食べたい」

これが自然な体の声です。

けれども、痛みが強すぎるとそのシンプルな声が“雑音”にかき消されてしまいます。

クライアントさんには

「自分の体の声をよく聴いてみてください」

と話したりするのですが、

体の信号に敏感になっている状態だと、

余計に痛みや不快感に余計に注意が集中してしまったり、

間違った信号を受け取ってしまったり、、、

ということもあるのです。

この辺は治療者がうまく判断しないといけないところです。

はり治療院ここからの鍼灸の役割

当院の鍼灸治療は、その“雑音”を静めてあげるお手伝いをすることです。

以前のブログにも説明があります。

施術を受ける中で、

「全身が痛い」から「ここが痛い」へ

「どこがつらいかわからない」から「この動きがラクになった」

と、体の感覚が整理できるようにお手伝いをしていきます。

体の声がうまく聴こえるようになるために、

一人でうまくできないときは、

施術で一緒に調整していきましょう!