ファシアの“うるおい”がカギ?
今回はシリーズ4回目の最終回です。ファシアについてドクターが書いた記事を元に深堀りをしています。
よく人間の体は約60%は水で出来ている、なんて聞きますよね。いつも思うのですが、どうやって測っているんでしょうか(笑)水分と大まかにいっていますが、その内容としては、細胞内液、血液(血漿という液体成分)、リンパ液、間質液、などが含まれます。この中で特にファシアに関係しているのが、間質液です。ここにはヒアルロン酸やプロテオグリカンとよばれる保水成分が含まれ、ファシアの滑走性や柔軟性に大きな影響を与えています。
水分がしっかり流れていることで、
- ファシア同士が滑らかに動く(滑走性)
- 栄養や酸素が細胞に届く
- 老廃物が流れる
このようなことが可能になります。
ラットの実験では水分が不足すると腱などファシアが自ら収縮し、強い力を生むことが分かっています。なんと筋肉が出せる力の約300倍の力で縮むそうです!300倍といったら、すごい力ですよね。
水分不足により腱が強く縮むと、関節や筋肉にも負担がかかります。

鶏肉を買ってきて、皮をはがそうとすると、身と皮の間にヌルーっとしたものが見えると思います。実はそれがファシアなのです。少しヌメッとして水分が含まれている感じが分かると思います。

ファシアの状態が健康であれば水分が十分にあり、柔らかさや動きやすさがあります。しかし、同じ姿勢を続けていたり、ケガや手術などで組織が損傷したり、ストレスや運動不足が続くとこのファシアの動きが悪くなっていきます。それをファシアの重積(スタッキングファシア)と呼びます。
以前、産婦人科の先生の講演で、子宮内膜症などの骨盤内病変がある方の内視鏡手術の映像を見たことがありますが、みずみずしさが失われ、組織が癒着しているのがはっきりと分かりました。
こういったファシアが癒着した状態になると、体が動かしずらくなったり、動かした際の引き連れや突っ張り感が出たりします。そして最終的には、痛みやしびれに繋がります。
なんとなく水分の重要性が伝わりましたでしょうか。
体が脱水状態に近づくと、腱や筋膜がギューッと縮み、知らず知らずのうちに関節や筋肉に負担をかけてしまう可能性があるので、日頃からのこまめな水分摂取も大事になります!お茶やコーヒー、ジュースなど味のついたものではなく「お水」を摂取できると最高です。これからどんどん暑い季節になりますので、ファシアがひからびないように、気をつけましょう!(笑)