「痛み✕ファシア」ドクターが語るファシアの可能性①

はり治療院ここから本庄院では、腰痛や肩こり、痺れなどの不調の原因としてファシアに着目し、はり治療をおこなっています。ブログ内でもファシアの話は何度も取り上げていますが、本日はお医者さんの立場から語られたファシアの話をご紹介しますね。

諏訪中央病院でリウマチを専門とするイケメンドクターの須田万勢(すだませい)先生が、痛みとファシアの関係について解説してくれています。須田先生は東洋医学にも興味関心をもち、ツボとファシアの関係性などにも探求を深めていらっしゃる先生です。私が所属している研究会でも、何度も講演を拝聴してますが、古今東西の知恵を融合させる発想力と、それを平易な言葉で分かりやすく伝えてくれる、とても尊敬している先生の一人です。

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痛みとファシアの関係について、最新の知見も含めて書かれているので、興味があるかたは上の画像をタップしてリンク先をご覧ください。

先生の紹介していた論文(Kodama et al., “Response to mechanical properties and physiological challenges of fascia: diagnosis and rehabilitative therapeutic intervention for myofascial system disorders.” 2023)では、ファシアが痛みのメカニズムに多面的な影響を与えていることが示されています。特に重要なキーワードは以下の4つです。

  • 機械的特性の変化
  • 炎症への免疫応答
  • 神経系との相互作用
  • 水分動態の変化

今日はこの中から、「機械的特性の変化」について、少し詳しくご紹介します。なんだか難しそうな言葉ですが、分かりやすく説明していきますね。

ファシアの機械的特性の変化

私たちの体の中身、筋肉や内臓、血管や骨までも包み込み、全身をネットワークのようにつなげている組織がファシアFasciaという組織です。イメージでいうと、全身を覆っているウェットスーツのようなものです。そのスーツがあることで体の形を保つことができ、また滑らかに体を動かすことができます。

そして、機械的特性とは、物質が外から刺激を受けたときに、「どのように変形したり反応したりするか」という性質になります。

健康な状態のファシアは「粘弾性(ねんだんせい)」という性質をもっています。柔らかすぎず、硬すぎず、力を受けたときにしなやかに変形して元に戻るというクッションのような性質です。しなやかさ、と言い換えてもいいかもしれません。このしなやかさが体にかかる衝撃を吸収してくれるのです。

しかし、長期間にわたる不良姿勢や、慢性的なストレス、ケガや手術痕などの影響によりファシアの構造が変化することがあります。

その結果なにが起こるかというと、、、

ファシアには痛みを感じ取るセンサー「自由神経終末(じゆうしんけいしゅうまつ)」が豊富に存在するといわれています。ファシアが柔軟性(しなかやかさ)を失うと、このセンサーが過敏になり、結果として、わずかな動きや刺激でも「ズキズキ」「ビリッ」といった痛みが生じやすくなるのです。

このようにファシアは、ただの体を構成している組織というわけではなく、痛みや動きの鍵を握る重要な存在なのです。当院ではこのファシアをターゲットとしてはり施術を行っています。

次回は「ファシアの炎症って何?」というお話をしていきますね。