【病院受診をすすめる例】骨折が疑われる場合

派手に転んだり、思いっきりぶつけたり、高いところから落ちたりした時に、まず鍼灸院にかけこむ方あまりいません(笑)
ほとんどの方はまず病院に受診し、検査をして、骨折があれば固定や手術など治療を受けると思います。

しかし実は、「大したことないと思っていたけど、エコーで確認したら骨に異常があった」というケースも、ときどき見られます。

以前、常連の患者さんが「さっき転んで足をひねった」と来院されました。
ご本人は歩いて来られるほどで、痛みもそこまで強くなかったため、特に心配もされていない様子でした。

ですが、エコーで観察してみると、どうにも気になる所見が。
そこで病院に受診していただいたところ、「骨折」と診断されました。

このように、「骨折=激しい痛み」というイメージを持たれている方も多いですが、必ずしもそうとは限りません。
実際には、比較的軽い痛みで動けてしまう骨折も存在します。さらに常連の患者さんは病院に行くよりも、先にうちに来てみてもらおうと考える方もいらっしゃるので、レントゲンなどの画像検査などできない鍼灸院ではエコー検査は大事なポイントになるかと思います。

僕は昔、レントゲン検査では100%骨折が分かるものだと思っていたのですが、初期の骨折や微細な骨折などは映らないこともあるとドクターに教えてもらいました。その一方で、エコーは骨の表面の段差や、骨膜の下にできる血腫といった異常を捉えることができます。

鍼灸院ではレントゲンなどの撮影はできないため、エコーがあるかどうかは重要な判断材料になると感じています。

骨折していたら鍼はできないの?

まず、適切な診断と治療のために医療機関への受診をしたうえで、鍼にもできることがあります。実際に上記の患者さんにはり治療を併用したところ、痛みの回復が早く早期に日常生活を問題なく過ごせるようになりました。

動物実験レベルですが、こんな論文があります👇

Electroacupuncture promotes bone healing in rats with tibial fracture by activating the Wnt/β-catenin pathway
2022年、PMC

この研究では、鍼の刺激(電気鍼)が骨折部位の骨形成を促進し、治癒が早まったという結果が出ています。

もちろん人間での研究はまだこれからですが、
・血流の改善
・痛みによる筋緊張の緩和
・治癒環境のサポート
として、鍼灸が持つ可能性は大きいと感じています。

「そこまで痛くないから大丈夫だと思っていた」
「レントゲンでは異常がなかったけど、やっぱり痛みが続く」
そんな方こそ、一度エコーで身体の中を“見える化”してみることをおすすめします。

目に見えない痛みを、見えるかたちで共有できること。
それが、正しい判断と安心につながると信じています。

当院では、エコー(超音波画像観察装置)を用いて診断行為を行うことはありません

エコーは「クラスⅡ(管理医療機器)」に分類されており、医師以外でも使用できる機器です。
当院ではこのエコーを、安全な施術を行うための参考情報のひとつとして使用しています。