【それホント?】レントゲンやMRI、画像診断への疑問

みなさんはレントゲンやMRIなどの画像所見と痛みなどの症状が一致していないということを聞いたことがありますでしょうか?医療業界では有名な話になっていますが、一般の方にはまだ浸透していない話だと感じています。

当院にくる患者さんからもよく「病院でレントゲンやMRIを撮って、医師にこういったことを言われました」と聞きます。

「椎間板がつぶれてますね」
「ヘルニアがありますね」
「手術するまでではないけど背骨が変形してます」

それを聞くと 「だから私は痛いんだ」、「これはもう治らないんだ」
そう思ってしまう方がとても多いです。

でも実は、医学の世界ではこんな研究結果がいくつも報告されています。

2015年にBrinjikjiらが、無症状の患者さんの画像調査をしたところ「椎間板の変性(すり減り)」「膨隆(ふくらみ)」「ヘルニア」「関節の変形」などの画像所見が、症状がない人にも高頻度で見られることがわかりました。

また、1990年Bodenらは腰痛のない健康な人67名にMRIを撮影し、椎間板の状態を調べました。その結果、約1/3に椎間板ヘルニア、約80%に椎間板変性が見られたのです。

これらは症状のない人でも画像上は「異常」があることを示した、非常に有名な研究です。

表にしてみるとこんな感じです。

画像診断で見られる変化痛みの有無
正常画像痛みあり
ヘルニアあり痛みなし
ヘルニアなし痛みあり
変形あり痛みなし

症状がない人でもレントゲンなどを取ると構造的な異常が高い頻度で起きている、ということは構造的な異常が根本的な痛みの原因ではないと考えられないでしょうか?

では、何が痛みのもととなっているのか。ここがスッキリ分かればとても話が早いのですが、、、はっきりと断言できるものは現段階でないのではないかと考えます。ただ、当院で重きをおいているファシア(詳しい説明はリンクからどうぞ)。この組織は慢性的な痛みやしびれ、精神的な問題まで広く関わっているのではないかと様々な研究からも推測できます。

「ヘルニアがあるから…」「骨が変形しているから…」そう言われて、不安になったり、落ち込んでしまっている方へ。

痛みや不調は、決して「画像で見えたもの=全ての原因」ではありません。むしろ、その奥にある「動き」や「ファシア」の状態こそ、痛みに大きく関わっていることがとても多いんです。

そして、そこにはまだ手をかけられる可能性がたくさんあります。

ただし、大切な注意点もあります。

中には、

  • 強い麻痺
  • 膀胱直腸障害(おしっこや便のコントロールが効かない)
  • 夜も眠れない激痛が続く

など、手術が必要になるケースも実際に存在します。
そういった状態が疑われる場合は、速やかに医療機関への受診や専門医への紹介を行っていますので、安心してご相談ください。

あなたの体には、まだまだ良くなるチカラがちゃんと残っています。
あきらめるのは、まだ早いです。一緒に、今できる最善の方法を探していきましょう。